2026.05.08 ISSUE WEEKLY OBSERVATION 第壱号 / NON-PERIODIC
月刊・観察日記 / SCOOP

風俗口コミ探偵の観察日記

COMMERCIAL 70,453 + PRIVATE 10,842 ── 19 YEARS OF FIELD NOTES

第陸話 Ⅲ ── 投稿者で口コミは変わる

店を支える 看板客
── 1 人で 126 件投稿する常連が、店の平均点を作っている

1 つの店の口コミページに行って、ハンドル名のところまで丁寧に見ていくと、同じ名前が何度も出てくることがある。集めた 7 万件の中で 同じ人が同じ店に何件書いているか を数えてみたら、最多は 126 件 だった。1 人の書き手で 100 件超は、複数いる。その店の平均評価は、誰の口コミで作られているか を確認しておきたい。

同じ人が、同じ店に何件書いているか

商業口コミの 70,453 件を、投稿者 × 店舗 の組み合わせで集計し直してみる。同じハンドル名が、同じ店に何度書いたかを数える。50 件以上書かれている組み合わせを上位から並べると、こうなる。

単一投稿者×単一店舗で50件以上のペア上位10組。最多126件で平均4.94
FIG.1 ── 投稿者 × 店舗の組合せ別投稿数 上位 10 組(n=70,453)
投稿者 × 店舗投稿件数平均評価
投稿者 α × 店舗 1126 件★4.94
投稿者 β × 店舗 2122 件★4.98
投稿者 γ × 店舗 395 件★4.77
投稿者 δ × 店舗 492 件★4.83
投稿者 ε × 店舗 588 件★4.74
投稿者 ζ × 店舗 684 件★3.99
投稿者 η × 店舗 782 件★4.04
投稿者 θ × 店舗 874 件★5.00
投稿者 ι × 店舗 960 件★4.97
投稿者 κ × 店舗 1060 件★4.15

100 件超のペアが 2 組、50 件以上のペアが上位だけで 十数組 ある。100 件以上同じ店に通って、毎回口コミを書く書き手が、観察記録の中に複数いる。

1 人で店の平均点を 0.4 ポイント押し上げる例

第 5 話「書き手のクセを 3 タイプで読む」 で見た「100% ★5・少数店舗」の甘めタイプは、特定の店に集中して投稿している場合がある。観察記録の中で目立つのは、1 人の常連が、店の平均評価をどれくらい押し上げているか という効果だ。

例えば店舗 8 の場合、投稿者 θ の 74 件はすべて ★5。この人を抜いて店全体の平均を出すと、他の書き手(n=150 件前後)の平均は ★4.6 まで下がる。1 人の常連で、店の評価が 0.4 ポイント変わる ことになる。

1 人で、店の平均を 0.4 ポイント 押し上げる。

同じことが別の店でも起きている。投稿者 ε × 店舗 5(88 件、★4.74)も、その人を抜くと残りの平均は ★4.4 前後まで落ちる。投稿者 ι × 店舗 9(60 件、★4.97)に至っては、ほぼ全件が ★5 で、その 1 人が店の平均を支えきっている。1 人で 50 〜 100 件分の口コミを書く看板客は、店の評価の "下駄" として動いている ことが多い。

これは、その常連が嘘を書いているという話ではない。「この店との相性が良い書き手が、口コミ全体の評価を引き上げている」という事実があるだけだ。読み手の側がそれを把握しているかどうかが問題になる。

平均が低い看板客もいる

上位 10 組の中で、平均評価が 4.5 を切っているペアが 2 つある。

  • 投稿者 ζ × 店舗 6:84 件、平均 ★3.99
  • 投稿者 η × 店舗 7:82 件、平均 ★4.04

84 回も同じ店に通っているのに、平均が ★4 を切る。これも「相性」とは別の現象として面白い。通い続けるけれど、口コミでは正直に評価を散らす書き手 がいるということだ。

このタイプの書き手は、第 5 話 の「ばらける」に近い。同じ店に通っているのに、★1〜3 を一定割合で書く。書き手の率直さが、看板客のなかにも残っている。

このタイプの看板客が混じっている店は、読み手の側にはむしろ追い風になる。常連が ★1〜3 を含めて素直に評価しているなら、店全体の ★ にも下駄が乗りにくい。常連寄与率の差が小さい店ほど、★ をそのまま受け取って読んでも大きく外さない、ということでもある。

持ち帰れる発明 ── 常連寄与率

口コミを読む前に、店の平均評価が誰によって作られているか を見ておく。具体的には、

  • 常連寄与率 = 上位 1〜3 投稿者を除いた平均と、全体平均の差

が大きい店ほど、評価が 少数の書き手に依存している。差が小さい店は、多くの書き手の評価が均されている。確認の手順はシンプル。

  1. 店舗ページの「投稿者」一覧を見て、同じハンドル名が何度出てくるかを数える
  2. 同じハンドル名で 10 件以上ある人がいたら、その人の投稿だけを除外して読んでみる
  3. 残った口コミの ★ 分布が、店の "実態" に近い

商業サイトの多くは、このフィルタを直接サポートしてくれていない。だから読み手の側で、同じ書き手の連投を頭の中で除外する 習慣を持つ。それだけで、店の評価の見え方が変わる。

TAKEAWAY ── 持ち帰れる発明

常連寄与率 ── 上位 1〜3 投稿者を除いた平均と、全体平均の差。差が大きいほど、その店の ★ は 少数の常連に乗っかっている。同じハンドルが 10 件以上ある人の投稿を頭の中で除外して読み直すだけで、店の "実態" の ★ 分布が見えてくる。

ちなみに、看板客の構造は媒体の形そのもので 見えやすさが違う。商業サイトでは投稿が店舗ページにフラットに並ぶので、同じ書き手の連投を頭の中で集約しないと看板客は見えてこない。一方、個人ブログ型のサイト(風俗放浪記カス日記)では、書き手が同じ嬢に通った記録がそのままタイムラインで並ぶ。看板客の存在が、媒体の形そのものに織り込まれている。読み手は集計しなくていい代わりに、書き手のクセが文章に直接乗ってくる。

NEXT ── 第漆話

同じ日に並ぶ 口コミペア ── 示し合わせか、たまたまか。

第 6 話で見たのは、1 人の書き手が 縦に集中 しているパターンだった。第 7 話では視点を 横に広げる。同じ日に同じ店に投稿する 2 人組が、観察記録に何度も繰り返されている。5 回以上重なるペアが 27 組、最大は同一ペアで 11 回。確率的に何が起きているかを確認する。

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