477 人を、★5 率と評価のばらつきで並べる
商業口コミの投稿者のうち、観察期間中に 20 件以上書いた人 は 477 人 いた。この 477 人を、
- 横軸:★5 率(その人の投稿のうち、★5 がどれくらいの割合か)
- 縦軸:SD(評価のばらつき。0 なら全部同じ評価、1.0 を超えるとかなり振れる)
の 2 軸で散布図にしてみる。
3 つの群れが、はっきり見える。
- 右下の塊:★5 率 95% 以上、SD はほぼゼロ。甘め:120 人
- 左の縦長エリア:★1〜3 を 2 割以上書く。SD も 1.0 前後。辛め:76 人
- 上半分のエリア:SD ≥ 1.0、評価がばらつく。ばらける:57 人
3 タイプを集計値で並べると、こうなる。
| タイプ | 人数 | 平均投稿数 | ★5 率 | SD |
|---|---|---|---|---|
| 甘め(★5 率 ≥ 95%) | 120 | 約 60 件 | 99% | 0.07 |
| 辛め(★1〜3 率 ≥ 20%) | 76 | 約 50 件 | 35% | 1.09 |
| ばらける(SD ≥ 1.0) | 57 | 約 53 件 | 64% | 1.06 |
3 タイプを足すと 253 人。投稿数 20 件以上の常連の 半分以上 が、3 つのクセのどれかに当てはまっている。
「100% ★5 で 100 件以上書く人」が、けっこういる
甘めタイプの中でも、SD = 0、投稿数 100 件超 のヘビー投稿者が複数存在する。観察期間を通して、★5 以外を一度も付けていない常連だ。匿名のラベルで並べると、
- 投稿者 X:128 件、SD = 0、訪問店舗 15 店
- 投稿者 Y:125 件、SD = 0、訪問店舗 15 店
- 投稿者 Z:109 件、SD = 0、訪問店舗 4 店
- 投稿者 W:103 件、SD = 0、訪問店舗 1 店
100 回行って、100 回 ★5 を付けた書き手が複数いる。「いつ行っても外れたことがない」「単に好みの店ばかり厳選している」と読むこともできるし、口コミに書く時点で 必ず ★5 を選ぶ習慣 がある、と読むこともできる。
ここで「100% ★5 = サクラ確定」とは言わない。店との相性で本当にすべて満足だった可能性は、観察記録だけからは否定できない。ただ、読み手の側には選択肢がある。100% ★5 の書き手の口コミは、★5 を一段引き下げて読む という補正をかけられる。
「ばらける書き手」は、辛めとは違う
辛めタイプとばらけるタイプは、似ているようで、実は別物。
- 辛めの人:★1〜3 を一定割合で必ず書く。平均評価が 4 を切る人もいる。「ここはここ、ダメなところはダメ」と切り分けている書き手
- ばらける人:★5 と ★1〜3 が両方混ざる。SD が 1.5 を超える例もある。当たり外れがあって、その差を率直に書く書き手
一番極端なばらけるタイプの例:
- 投稿者 A:66 件、SD = 1.61、平均評価 3.53、★1〜3 率 35%、訪問店舗 27 店
20 店以上に行って、評価が ★1 から ★5 まで広く分布している。この書き手の ★5 は、本気の ★5 だ。100 件中 100 件 ★5 の書き手の ★5 とは、情報密度が違う。
★5 ひとつの重みは、書き手が何と比べているかで変わる。20 店以上を訪れた人の ★5 は、20 回の中から選ばれた評価だ。比較の軸が広いほど、その人の最高評価は重い。一方で、全件 ★5 の書き手の ★5 は、比較の軸そのものが立っていない。同じ ★5 でも、単位が違う数字を並べているような状態になっている。
だから、ばらける書き手のひとつの ★5 は、甘めの書き手の ★5 を 100 個並べたよりも、ずっと多くを語っている。低評価を書く能力が一度立証された書き手の高評価は、口コミ画面の中でいちばん信頼度が高い。
ばらける人の ★5 は、本気の ★5。
持ち帰れる発明 ── 投稿者プロファイラ
書き手を読むときに見る軸は 3 つある。第 2 話 で見た累計投稿数、それに SD(評価のばらつき)と訪問店舗数。この 3 列だけで、書き手のクセを 3 タイプに分類できる。
- ★5 率が高く、SD が小さく、訪問店舗が少ない → 甘めタイプ。★5 を一段引き下げて読む
- ★1〜3 率が高く、SD が中くらい → 辛めタイプ。★4 以上に重みを置いて読む
- SD が 1.0 を超え、訪問店舗が多い → ばらけるタイプ。この人の ★5 は信じてよい
3 タイプ判定は、書き手のハンドル名のページに表示される過去投稿一覧をざっと眺めれば、数十秒でできる。第 1 話「★5 はベースライン」、第 2 話「投稿者経験曲線」、第 3 話「リピ宣言信頼度」、第 4 話「改善点の具体性」と組み合わせて、口コミに 5 つのフィルタ を通せるようになる。
投稿者プロファイラ ── 累計投稿数 × SD × 訪問店舗数。書き手のクセを「甘め/辛め/ばらける」に分類する 3 列。100% ★5 の書き手の ★5 は引き下げ、ばらける書き手の ★5 はそのまま信じる。第 1〜4 話のフィルタと並べて 5 枚目として使う。
ここで観察した 3 タイプは、商業口コミサイトの中の話だ。媒体ごとの 投稿動機の設計 が変わると、書き手の母集団も別物になる。たとえば、投稿に金銭報酬を出している投稿集約型サイト(ホンネレポ)、報酬のない投稿サイト(仁義なき風俗体験ブログ)、管理人主導で投稿も受け付ける個人ブログ型(カス日記)の 3 つでは、甘め・辛め・ばらけるの比率もまた違う形で立つ。同じプロファイラを当てるときは、媒体構造を一段引いて見るのを忘れない。