2026.05.08 ISSUE WEEKLY OBSERVATION 第壱号 / NON-PERIODIC
月刊・観察日記 / SCOOP

風俗口コミ探偵の観察日記

COMMERCIAL 70,453 + PRIVATE 10,842 ── 19 YEARS OF FIELD NOTES

第參話 Ⅱ ── 文章の手触り

「リピ確定」と書いた人の 72% は戻らない
── 宣言と行動の差を 2,615 件追跡した

「リピ確定です!」と力強く書かれた口コミを、お店を選ぶ前に何度か信じたことがある。本当にリピしているのか、書いた人のその後の足取りを追ってみた。全体では 6 割が戻ってきていなかった。「リピ確定」の言葉だけに絞れば 7 割が戻らない。さらに、初回投稿者だけは誰ひとり戻っていなかった。

リピ宣言を集めて、その後を追ってみる

口コミの中に「リピ確定」「絶対リピ」「また行きたい」「また会いたい」のような強い宣言を含む書き込みは、集めた 70,453 件 のうち 2,615 件 あった。

その 2,615 件について、同じ書き手が、同じ店にもう一度書きに戻ったか を追跡した。同じ投稿者 ID × 同じ店舗 ID の組み合わせで、宣言した日より後に新しい投稿が観察できれば「戻った」とカウントする。結果はこうなった。

  • 戻ったことが観察できた:1,074 件(41.1%)
  • 観察上、戻っていない:1,541 件(58.9%)

宣言の 6 割は、観察できた範囲では行動として現れていない。

強い言葉ほど、守られていない

宣言の言葉ごとに分けて並べるとこうなる。

宣言の言葉件数戻る率
リピ確定10427.9%
絶対リピ7627.6%
また行きたい/また行く1,06931.2%
また会いたい/また会う1,36650.6%
全体2,61541.1%

直感とは少しずれる線が立っている。「リピ確定」「絶対リピ」のような強い言葉のほうが、守られている率は低い。「リピ確定」と書いた人の 3 人に 2 人 は、観察できた範囲で戻ってきていない。

初回投稿者の戻る率は、ちょうどゼロ

ここまでで一番強く線が立つのは、書き手の累計投稿数で分けたとき だった。

累計投稿数強リピ宣言数戻る率
1 件(観察期間中の投稿が 1 件きりの人)5380.0%
2 〜 5 件45431.9%
6 〜 20 件70746.1%
21 〜 100 件59566.4%
100 件超32164.8%
投稿者経験別のリピ宣言の戻る率。初回投稿者は0%、100件超は約65%まで階段状に立ち上がる
FIG.1 ── 投稿者経験別のリピ宣言の戻る率。初回投稿者だけが完全にゼロで、階段状に立ち上がる(n=2,615)

初回投稿者が「リピ確定」「また行きたい」と書いた 538 件のうち、観察された範囲で書き戻した人はゼロ。0 / 538。

初回投稿の宣言、0 / 538

ただしこれは 「観察された範囲でゼロ」という記録 であって、「ゼロ人がリピしていない」という意味ではない。別アカウントで書いた人、観察期間外に行った人、行ったけど書かなかった人 ── 観察記録に残らない動きは別にある。この区別はこの後の節で改めて立ち止まる。

100 件超のヘビー投稿者になると、宣言した人の 65% 前後が実際に書き戻している。書き手の経験量で、宣言の信頼度が 60 ポイント以上動く第 2 話 で渡した「投稿者経験曲線」が、ここでも同じ向きで効いている。

「観察できない」は「戻っていない」じゃない

ここで観察者として一度立ち止まる必要がある。

戻った記録が観察できなかった、というのは、実際にリピしていないこととイコールではない。次の可能性は全部残っている。

  • 別のハンドル名(別アカウント)で書いた
  • 観察期間の外(2026 年 4 月以降)に行った
  • 行ったけど、書かなかった

特に 3 番目 は大きい。1 回書いて、その後行ったとしても書く習慣がなければ、こちらからは観察できない。だから「初回投稿者の 0%」を「全員ウソだった」と読むのは、観察記録に乗っかりすぎている。

それでも、「初回投稿者がリピ宣言した 538 件のうち、観察期間内に書き戻した人がゼロ」 という事実は強い。書く習慣が続いた人が ゼロ人 いるという形で、宣言と行動のあいだに大きな段差が立っている。

「また会いたい」だけは少し違う

宣言の言葉のなかで、「また会いたい」「また会う」だけは戻る率が 50.6% と他より高かった。

「また行きたい」が店全体への評価なのに対して、「また会いたい」は 特定の女性への愛着 が乗っている。同じ店の同じ人に会いに行く動機は、店全般のリピ動機よりひとまわり強い。

「リピ確定」「絶対リピ」のような店全体への宣言よりも、特定の人への愛着のほうが行動として現れやすい。これは第 6 話「店を支える看板客」で改めて拾うことになる構造だ。

なぜ「リピ確定」ほど守られないのか

集めた記録を並べていると、「強い宣言ほど守られない」のは 書く瞬間の気持ちの高ぶりと、後日の冷静さとのギャップ が一番効いている、と読みたくなる。

「リピ確定」と書く瞬間は、その日の体験の余韻のなかにいる。気持ちが乗っているからこそ、強い言葉が出る。一方、行動として戻るには、また予算と時間と気力が要る。次の機会には別の店も気になる。書いた瞬間と次の決断のあいだには、必ず一呼吸入る。

その一呼吸が短く、書いた言葉と次の行動が繋がりやすい人がヘビー投稿者だ。逆に、初回投稿者は、書いた瞬間がその日の体験の "総決算" になっていて、書いた時点で完結している。次の行動に繋げる流れを、書き手の中に持っていない。

持ち帰れる発明 ── リピ宣言信頼度

口コミの中に「リピ確定」「また行きたい」のような宣言を見つけたら、まずその書き手の累計投稿数を見る。それだけで、宣言の信頼度の "目盛り" を決められる。

  • 累計 1 件の宣言:観察された範囲で戻る率 0%。読み流していい
  • 累計 2 〜 20 件:戻る率 32 〜 46%。半分くらいに割り引いて読む
  • 累計 21 件以上:戻る率 65% 前後。そのまま信じてよい

第 1 話「★5 はベースライン」、第 2 話「投稿者経験曲線」と組み合わせて使うと、口コミの読み方が一段立体的になる。経験軸の次は、書き手の クセ そのもの ── 100% ★5 を貫く人、★1〜5 をばらつかせる人。第 5 話「書き手のクセを 3 タイプで読む」 で、その分類を渡す。

このフィルタは、ハンドル名から書き手の過去の投稿が辿れる媒体ならそのまま使える。月額制の投稿集約型サイト(ホンネレポ)のように、投稿者ページから累計件数や過去の口コミが一覧できる構造があれば、商業サイト以外でも同じ補正をかけて読める。

TAKEAWAY ── 持ち帰れる発明

リピ宣言の信頼度 = 書き手の累計投稿数。ハンドル名や宣言の強さよりも、書き手の経験量が宣言の信頼度を決める。これを「リピ宣言信頼度」と呼ぶ。「★5 はベースライン」「投稿者経験曲線」と並べて、口コミに通すフィルタの 3 枚目として使う。

NEXT ── 第肆話

「改善点:特になし」が意味すること。

第 3 話では、書いた言葉とその後の行動の差を見た。第 4 話は、書かれた言葉の 中身そのもの に入る。商業口コミの「改善点」欄を評価別に並べると、★5 の半数が「特になし」で埋まっていた。

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