婉曲表現を、平均スコアで並べる
個人口コミ媒体の口コミ 10,842 件 のうち、パネル一致度の項目に記入のあったものを 8 段階で集計し、それぞれの 平均総合スコア を並べた。
| パネル一致度 | n | 平均スコア |
|---|---|---|
| 実物のほうが断然いい | 640 | 88.1 点 |
| HP 写真と全く同じ | 345 | 86.2 点 |
| HP 写真なし | 730 | 84.0 点 |
| HP 写真とほぼ同じ | 1,421 | 83.9 点 |
| よく分からない・悩ましい | 272 | 82.4 点 |
| 面影はある | 977 | 80.8 点 |
| HP 写真より劣る | 915 | 79.6 点 |
| 全くの別人 | 276 | 76.6 点 |
一致度で、平均スコアが 11.5 点動く
最高の「実物のほうが断然いい」が 88.1 点、最低の「全くの別人」が 76.6 点。11.5 点の差 がある。同じ個人口コミ媒体の中で、パネル一致度のカテゴリ違いだけで、これだけのスコア差が立つ。
書き手は、この 8 段階を 微妙に使い分けている。特に間にある「面影はある(80.8 点)」「HP 写真より劣る(79.6 点)」の差は、書き手の感覚としては別物だ。「面影はある」のほうがやや穏やかで、「劣る」のほうがやや厳しい。1 点ちょっとの差だが、文化的な圧縮としては別レイヤーの言葉になっている。
「実物のほうが断然いい」が、満足度 1 位
意外な発見もある。「実物のほうが断然いい」を選んだ人の平均スコアは 88.1 点 で、8 段階の中で最高。「HP 写真と全く同じ」(86.2 点)よりさらに上だ。
これは、写真補正が控えめで、店舗ページに 保守的な写真 を載せている店ほど、実物が期待を超える、と読める。逆に、写真で釣ろうとしている店の口コミは、「面影はある」「HP 写真より劣る」「全くの別人」のほうに分散していく。
書き手の評価の "上限" は、写真の控えめさ で決まる。
「面影はある」は、注意水域
平均スコアの分布を見ると、80 点台前半が境目 になっている。
- 80 点台後半(86 点以上):写真と実物が一致、もしくは実物のほうが上
- 80 点前後:「面影はある」「よく分からない」── ここが分水嶺
- 70 点台後半:「HP 写真より劣る」── 実物が下回り始める
- 70 点台前半:「全くの別人」── 期待外れ
「面影はある」は、書き手の側で「ちょっと違うけど、まあ許せる」のサインとして使われている。この表記が出てきたら、写真より一段引いて期待値を作る のが、個人口コミを読むときの補正になる。
実際に「面影はある」と書いた人の本文を読むと、評価のニュアンスが微妙に分かれる。「写真より少し若く見える人だった」「写真とは違うが、これはこれで」のような肯定的な揺れもあれば、「写真ほどではなかった」のような控えめな失望もある。婉曲表現の射程が広い のがこの言葉の特徴で、書き手は強く批判したくないが、満足とも言えないグレーゾーンを表現するのに使っている。
逆に「HP 写真より劣る」と書いた書き手は、明確に「期待を下回った」を選んでいる。婉曲表現の中でも、書き手の温度がはっきり下がっている合図だ。「全くの別人」までいくと書き手の側で踏ん切りがついていて、本文も具体的な不一致点(顔・体型・年齢のいずれか)が書かれていることが多い。
媒体ごとに、写真と実物の差をどう扱うかは違う。たとえば 風俗放浪記 のような書き手単位の個人ブログでは、嬢ごとの記録に 「写真整合性」を独立した ★ 評価項目 として置いている。本ノートで並べた 8 段階の婉曲表現とは別の角度から、同じ "写真と実物の差" を観察対象にしているわけだ。読み手の側は、媒体のフォーマットの違いに合わせて、同じ "差" を別の言葉で読む練習をすることになる。
個人口コミ媒体の婉曲表現は、それ自体が評価の目盛り。「実物のほうが断然いい/HP 写真と全く同じ」は 88 点台、「HP 写真とほぼ同じ/HP 写真なし」は 84 点前後、「面影はある/よく分からない」は 80 点台前半、「HP 写真より劣る/全くの別人」は 70 点台。文言を見るだけで、その口コミの期待値が決まる。
商業口コミではこういう細かい記述が落ちている。個人口コミを開いたときは、まずパネル一致度の文言を確認する。そこだけで、その口コミの期待値が決まる くらいの強度がある。
第 1 話の「★5 はベースライン」と組み合わせて、写真と実物の一致レイヤー を読むのにこのノートを使う。